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    ◆小津喰ふ虫(10)−山村聰

    • 2018.06.03 Sunday
    • 09:03

     

    JUGEMテーマ:日本映画の監督

     

     

    山村聰 【参考文献】

     

     

     

     津が新東宝で製作した「宗方姉妹」は、他所で撮るならそこの役者を立てるのが当然でしょうが、姉(田中絹代)> 妹(高峰秀子)、夫(山村聰)は他社、昔の恋人(上原謙)はフリーながら元松竹、父親(笠智衆)は松竹、呑み屋の主人(藤原釜足)、女中(千石規子)や常連客(河村黎吉)は新東宝。すべて(松竹 > 新東宝)の設定。これでよく脚本が通ったと思うのですが、実際には新東宝からの要望で原作も配役も決まっていたとのこと(◆惱(姉妹』はどんな作品か)。高峰秀子がヒロインという名目があったからか。

     

     山村聰は松竹の役者ではなかったのですが、小津映画で重要な役柄を演じました。ここにも不可解な点が二つあります。初出演の「宗方姉妹」('50)では主役格にも関わらず(事実この作品で、同年のブルーリボン主演男優賞を受賞)、ポスター等の宣伝に山村聰の名も姿もありません。現在のDVDジャケットにもケース内にもそれらは無い。従って作品を観なければ、彼が出演していることすら分らない。

     

    次の「麦秋」('51)では間宮康一役に抜擢されたのですが、山村の方で舞台を優先して断ったという経緯があります(β萋鷯蓮〕遒鼠媾Δぁ法H爐呂海慮紊法崚豕物語」('53)、「早春」('56)、「東京暮色」('57)、合わせて四本の小津映画に出演しています。しかし以後のカラー作品には出ていません。調べた限りでは彼の小津評なども無い。

     

     れらは小津の山村批判「少し技巧に走ってきた感じがする、猿がドングリを拾いかけてきた傾向がある」が原因か(∨佑呂舛辰箸發海錣ないよ)。しかし「少し技巧に走ってきた感……」は小津の偏見ではないのか。彼が四番バッターと評した杉村春子は(小津映画の名優たち―岡田茉莉子)、年中ドングリを拾っていたのではないだろうか。

     

    「東京暮色」の竹内重子役で、ハンドバッグから小箱を取り出して顎を突き出しながら、「あ、ねえ、これちょっと使ってみてよ。クリーム、うちの新製品。今度売り出すの」と差し出す処などは(1:07:04)、ドングリを拾っている猿そっくり。小津は贔屓する笠智衆の演技を清水千代太から批判され、他の役者の方が良いと言われたのに対し、「君はその役者が好きなんだ」と答えたというが(⊂津安二郎に悩みあり)、これは誰にも当てはまることでしょう。小津の佐分利信批判、

     

     

    「佐分利君の写真は『ああ青春』をみたけれど、なかなか良いと思った。しかしあの人は自から監督するときは自分は出演しない方がいいと思うね。演出家は常に客観的にものを見なければならないから自分が出演しては正しく客観視することは難かしいと思うのだ」(↓爐祭り屋瓩砲覆蠅燭ない)

     

     

    では、同じ監督兼主役をやる山村もその対象になります。そういえば佐分利の小津評も少ない。監督をやる俳優は他の監督をとやかく言わない(言えない)ということか。

     

    【参考文献】

     

     (本文ここまで)




     

     

     

    ◆小津喰ふ虫(9)−スポーツ

    • 2018.05.30 Wednesday
    • 10:50

     

    JUGEMテーマ:日本映画の監督

     

     

    スポーツ

     

     

     

     小津映画はトーキーになるとスポーツの場面がよく出てくるようになります。

     

    1. 「一人息子」少年野球
    2. 「晩春」少年野球
    3. 「宗方姉妹」プロ野球 阪神タイガース(台詞だけ)
    4. 「お茶漬けの味」競輪、プロ野球 毎日オリオンズ 3番レフト三宅 、4番センター別当 。対戦相手は不明だが、キャッチャーのユニフォームは白黒でみた時グレー、アンダーシャツは白なので、三塁側フランチャイズではないものとして調べれば分かるか
    5. 「東京物語」プロ野球 オールスター戦のポスター(06:25「平山医院」看板の奥、日程が Wikipedia の記述と異なる―「梅雨の影響もあって第1戦と第2戦の間が5日間も空いた」のが原因か)

      ポスター       Wikipedia
      後楽園        第1戦 7月1日(水) 後楽園
      中日スタヂアム    第2戦 7月6日(月) 甲子園
      甲子園        第3戦 7月8日(水) 中日
       
    6. 「早春」大学生のボート
    7. 「彼岸花」大学バスケット(台詞だけ)
    8. 「お早よう」大相撲 小津の日記より(敢斗賞を受賞した若秩父が本編のテレビで写される)
      11日(日)大相撲初場所 初日也/朝汐 千代の山 それぞれ大晃 若秩父に負ける
      12日(月)厚生館にて相撲テレビを見る
      13日(火)雨となる 所長室となりにて角力テレビをみて早く帰る
      15日(木)一日在宅 いささか宿酔 昼すぎ起床 入浴 大相撲五日目始まる/朝汐と千代 それぞれ玉の海 房錦に敗退 全勝 若と岩風二人也/この日千代  ママ 退を決意する
      17日(土)談話室で相撲テレビをみる
      18日(日)出京 三時 資生堂で中条三千子に会ふ 五九十会の連中と大相撲中日見物 のち別れて 山内 北川と篷萊屋にゆく 早く帰る
      21日(水)……この日 朝 栃 敗る
      22日(木)出社 三宅 三好 千村 細川の衣裳しらべ 大久保家のデザインをひく テレビで相撲を見て帰る
      23日(金)若乃花 時津山に負ける
      24日(土)出社 衣裳を見てから車でカーテンを買ひに横浜元町に出る 喜久屋で若乃花と朝汐のテレビを見る 若 ママ 勝にて優勝きまる

      MEMO
      初場所十一日→二十五日千秋楽
      若乃花優勝 十四勝一敗
      殊勲賞 時津山 九勝六敗
      技能賞 若前田 十勝五敗
      敢斗賞 若秩父 同

      25日(日)一日在宅 昼近く起床 テレビにて初場所千秋楽を見る 若乃花が栃錦に勝つて十四勝一敗なり
       
    9. 「小早川家の秋」丸山六太郎(藤木悠)が万兵衛(中村鴈治郎)の後を掛取りと偽って尾行している間、ラジオからの実況放送が流れます(23:04)。 DVD 字幕にも(野球中継の音)とあり、内容は以下の通り。

      高校野球、夏の甲子園一回戦最後の試合 浪商(大阪)―浜松商業(静岡)戦
      得点1対0で浪商リードの三回裏、浜松商業の攻撃
      二塁打、バント・ヒットで1アウト、ランナー一塁三塁
      この後、2回続けてスクイズを外され、三塁ランナーが三本間に挟まれた処でこの場面は終わる

      試合は1対0で浪商の勝ち。同校はこの年の優勝校であり、ピッチャーは怪童と呼ばれた尾崎行雄(実況では名前が出ない)。準決勝の法政二高(神奈川)戦が実質的な決勝戦といわれていますが、一回戦とはいえ、最少得点の勝利、敗戦チームも三塁まで出塁等、この試合も名勝負だったと思われます。安打数は浪(単打のみ)8-9 浜(内二塁打2本)と浜商が上回っています。失策が浜商に一つあり、これが唯一の失点に絡んだのでしょうか。小津の日記には決勝戦の結果があります。桐は桐蔭(和歌山)。

      昭和36年 8月20日(日)
      高校野球 浪1−0桐

       

    10. 「秋刀魚の味」プロ野球 大洋 阪神 戦 ダブルヘッダー 第二試合(06:02) 四回裏、大洋4番サード桑田 、阪神のピッチャーはバッキー。球場の実写からテレビ中継に移動するという不可思議な映像。

     

     

     

     (本文ここまで)




     

     

     

    ◆小津喰ふ虫(8)−BGM

    • 2018.05.27 Sunday
    • 08:50

     

    JUGEMテーマ:日本映画の監督

     

     

    BGM 【参考文献】

     

     

     

     他のジャンルは不案内なので、クラシックに限って小津映画で使われた音楽について、その位置と題名を示します。

     

    1. 「美人哀愁」で「結婚行進曲」と「葬送行進曲」(66 岡本家の一室)。葬送は無数にあるので特定できませんが、結婚の方はメンデルスゾーンとワーグナーのどちらか。この時代はまだ大人しいワーグナーだったとすると葬送も同じ作曲家のものと決まります

       

    2. 「非常線の女」襄二がレコードを聴きながら「神様がこしらえたものの中でも音楽は出来のいい方だぜ」(40:25)。この前に「赤盤の十二インチは品が良過ぎて僕には頼りないです」の台詞があり(これは当時のクラシック名演奏盤)、さらにレコードを買いに来たみさ子から「そんなややっこしいの分んの」と揶揄されるのでクラシックでしょう

       

    3. 「一人息子」劇中映画「未完成交響楽」でのヒロインの独唱(35:16)。歌曲やオペラには疎いですが、オーケストラ伴奏なので何かのオペラ、アリアでしょうか

       

    4. 「晩春」曾宮宅で滝廉太郎「花」(26:18)/巌本真里 提琴独奏会でラフのカヴァティーナ(33:24)

       

    5. 「宗方姉妹」頼子宅でショパン夜想曲十一番(58:38)。脚本には何も書かれていませんが、暫く経ってから、曲が鳴り止んだすぐ後に頼子が部屋に入って来るので、彼女自らの演奏としているのかもしれません

       

    6. 「彼岸花」平山宅でバイエル四十八番(25:11, 27:03, 32:22)とバイエル三番、あるいは八十七番似(26:47)。三番似の方は四十八番の間で鳴る/聖ロカ病院でモーツァルトの聖体賛美歌「アヴェ・ヴェルム・コルプス」(28:00)

       

    7. 「お早よう」冒頭、編曲されたモーツァルト交響曲第四十一番「ジュピター」第一楽章(00:01)。それに続くフレーズは、テンポを上げただけの単純なものですが、ベートーヴェン交響曲第四番の第一楽章アダージョ(緩やかに)からアレグロ・ヴィヴァーチェ(快活に速く)への導入部を思わせます。その他にもこの作品のBGMは全般的に古典派の楽想に似ています。それらはみな編曲ではないでしょうか。音楽の黛敏郎は「小早川家の秋」でも担当しており、こちらはオリジナルと思われますが「お早よう」とは楽想が全く異ります。

       

       小津はクラシック音楽にはあまり馴染みがなかったようですが、日記に昭和31年 4月 9日「日比谷公会堂にてウィン フィル ハーモニーをきく」とあります(「早春」上映の年)。これはこの交響楽団の初来日、初日でした。そしてその最後の曲がモーツァルト「ジュピター」です。これによって黛との打ち合わせの中で「お早よう」の冒頭が決められたのでしょう。さらに 23日の日比谷公会堂では同じ楽団によって、ベートーヴェンの交響曲第四番が演奏されました。小津はこちらは鑑賞していないでしょうが、黛の方で着想を得ていたのではないか。

       英語教師の福井宅「こないだ動物園でアシカが死んだろう」(1:03:18)でバイエル四十八番

       

    8. 「秋日和」服飾学院でモーツァルトのピアノ・ソナタ第十一番「トルコ行進曲」第一楽章(34:25)/間宮宅でほとんど聴き取れませんがバイエル四十八番(1:15:18)

       

    9. 「秋刀魚の味」河合宅での囲碁観戦(1:31:24)でバイエル四十八番

     

    【参考文献】

     

     (本文ここまで)




     

     

     

    ◆小津喰ふ虫(7)−台詞と場面

    • 2018.05.26 Saturday
    • 11:28

     

    JUGEMテーマ:日本映画の監督

     

     

    台詞と場面 【参考文献】

     

     

     

     小津映画で好きな台詞を、サイレントとトーキーから一つずつ挙げます。

     

          
    • 「東京の合唱」同じ会社から解雇された失業者二人が上野公園のベンチでしょぼくれていると、園内で熊の脱走騒ぎが起る(41:22)。元先輩(阪本武)が見物に誘うが、元後輩(岡田時彦)は「私の人生には何の関はりもないぢゃありませんか」と拒否。
    • 「秋日和」アヤ子(司葉子)から、母親(原節子)と不仲だと聞いた彼氏の後藤(佐田啓二)が、幼少時に母親と喧嘩して仲直りしないまま母親が死んでしまったという身の上話をする前に、「そりゃいかんな。喧嘩しちゃいけないな」(1:33:20)

     

    *「秋日和」の台詞は身の上話の前にありますが、何度も観ていると、台詞が始まった処でその後の話を了解できるので、しみじみと感じられます。

          

     

     

     小津映画で好きな場面を五つ。

     

          
    1. 「東京の合唱」正職を失った夫(岡田時彦)が、子供の病気を治すために衣類を質に入れてしまい、それに気づいた妻(八雲恵美子)が、さらに夫の哀れな言動によって、嫌っていた彼のアルバイトを認める(1:17:38)
    2. 「淑女は何を忘れたか」姪の節子(桑野通子)が最後の台詞「うち、明日の今時分もう大阪や」を言う処(1:07:00)
    3. 「麦秋」夏目漱石「こころ」からの拝借のようだが、紀子(原節子)が矢部謙吉(二本柳寛)宅で、彼の母たみ(杉村春子)からのプロポーズを受けた後、外に出たところを帰宅して来た謙吉とすれ違う(1:28:16)
    4. 「早春」夫杉山正二(池部良)と仲人小野寺(笠智衆)の二人が、京大短艇部のボートを見ながら元先輩の河合(山村聰)の噂をする(2:16:58)
    5. 「早春」仲人から受け取った仲裁の手紙により、妻の昌子(淡島千景)が夫の浮気を許す(2:20:40)

     

    *「早春」の前の方では学生のボートを見ながら、小野寺は「あの時分が、一番いい時だなあ」と言います。同じような台詞なら「麦秋」等にもありますが、ここでは河合の噂話を絡めているので印象深い。これより前に杉山が三浦宅へ弔問に訪れた際、彼の事情を何も知らないはずの河合から「まあ、お互いに生きてはいるが、そう幸せだとも思えないからねえ」と言われていました(1:52:55)。

          

     

    【参考文献】

     

     (本文ここまで)




     

     

     

    ◆小津喰ふ虫(6)−当たり役

    • 2018.05.23 Wednesday
    • 11:30

     

    JUGEMテーマ:日本映画の監督

     

     

    当たり役 【参考文献】

     

     

     

     いくつかの小津作品では同じ役者が同じネタを演じていますが、そのうち面白いものを四つ挙げます。笠智衆の洗面と歯磨は一発芸の域にあるので台詞も載せました。彼は「一人息子」で、特にこの洗面の場面でブレークしています(β莪貍蓮‥位訛海の強行軍)。笠が他の監督の作品に出演したものでタイトルに名前のあるのは、この年までの五年間でわずか五本だったのが、翌年の一年間だけで十四本にまでなっており、その内二本で主役を務めてもいます(出演作品リスト)。このため同年の小津映画「淑女は何を忘れたか」には出ていませんが、五年後は「父ありき」の主役となりました。

     

    なお笠が小津映画に出ていないのは第一作の時代劇「懺悔の刃」と「美人哀愁」「淑女は何を忘れたか」の三本なので、出演したのはちょうど五十本になります。「懺悔の刃」は当然のこととして、何故「美人哀愁」に出演していないのか。脚本をみると、小津映画最長158分の超大作であるにも関わらず、配役はたったの8人しかありません。鞘当ての男二人を除くと同年代の若者もなく、この頃まだ台詞のない笠の出番など、あるはずもなかったのでしょう。

     

    洗面と歯磨(笠智衆)

    「一人息子」(29:26)「あの良助君、まことに済まんがね、そこらに手拭いありませんかね。いやどうも、洗濯シャボンって奴は」/「晩春」(28:32, 1:21:31)「おい紀子、タオル」……歯磨の後、口を濯ぐ音「ガラガラガラ」/「麦秋」(1:07:51)不機嫌になり無言で「ガラガラガラ」/「お早よう」(18:50)「誰だ洗面所で歯磨きこぼしたの」/「秋刀魚の味」(47:15)「路子シャボンないよ、シャボン」

     

    裏庭にいる猫をあやす(山村聰)

    「宗方姉妹」(1:03:55)と「東京物語」(1:35:24)だけだが、この二つのショットはよく似ている

     

    反抗期の子供を持つお母さん(三宅邦子)

    「麦秋」(1:09:10)/「東京物語」(08:38, 26:02)/「お早よう」(38:28)

     

    定年(東野英治郎)

    「東京物語」(1:04:21)/「早春」(2:09:48)/「お早よう」(36:47)/「秋刀魚の味」(20:30)

     

    【参考文献】

     

     (本文ここまで)