◆変な小津映画(1)−変な「麦秋」「お茶漬の味」

  • 2018.03.16 Friday
  • 05:05

 

JUGEMテーマ:日本映画の監督

 

 

変な「麦秋」「お茶漬の味」 【参考文献】



子三部作と言われる「晩春」「麦秋」「東京物語」の傑作群の間には、「宗方姉妹」「お茶漬の味」と、二つの異色作が挟まれています。前者は他社で撮った、原作も配役もそこで決められていた作品(◆惱(姉妹』はどんな作品か)、後者は戦時中に書いた脚本に手を加えたもの。どちらも夫婦の問題を扱っており、他の三作との違いがはっきりしています。


これは配役やテーマ、ストーリーについて言えることですが、よくみると「宗方姉妹」の後に続けて撮られた「麦秋」「お茶漬の味」に共通な、可笑しな演出のあることが分ります。それはカメラの移動撮影と、それの屋内への入り方についてですが、小津はこの変な演出を放棄することによって従来の形式に収まり、「東京物語」以降の映画を製作していったのです。


移動撮影


メラの移動は筒井武文(映画に文法はない)が指摘するように、「麦秋」「お茶漬の味」どちらも十四件と他の作品にくらべて突出しており(同数なのは偶然と思われますが)、小津はこの頃にカメラ移動の演出を模索していたと言えます。それらはショットの途中から動き出すものや途中で止まるものが多いのですが、途中から動き出して同じショットの中で止まるものはありません。これは観客が移動を強く意識してしまうためか(後述のように小津は「彼岸花」の頃、移動を意識させたくないと言っています)、あるいは両方を一つのショットで行なうのが難しかったのか。


下に二作品のカメラ移動を示しますが、中には屋内での人物の縦移動(*付き)があり、それが次のショットにつながっている処もあります。これらと歌舞伎座での右奥への移動の二つは並の演出といえます。とくに歌舞伎座の方は両作品で同じように撮られています。


「麦秋」のカメラ移動
右奥、歌舞伎座で周吉、志げ、茂吉(24:07)、ショットの途中で止まる(24:24)
前進、料亭「田むら」で紀子が去った後(31:38)、ショットの途中から動き出す
継続、右奥、歌舞伎座で無人(31:43)、途中で止まる(31:51)
右方、病院の窓外で無人(34:34)、途中で止まる(34:39)
右方、病院の研究室隣室で間宮と田村が去った後(36:33)、途中から動き出す
前進、間宮家で無人(1:11:19)、途中から動き出す
継続、前進右、海岸で実と勇(1:11:24)*
継続、前進右、実の寄りで勇が画面から外れ(1:11:37)、途中で止まる(1:11:43)*
後退、ニコライ堂前で紀子と矢部(1:21:58)
後退、料亭「田むら」でアヤと紀子(1:46:33)、途中から動き出す*
継続、前進、間宮家で無人(1:46:45)、途中で止まる(1:46:54)
クレーンによる前進、海岸で紀子と史子(1:49:52)、途中で止まる(1:50:11)
前進左、海岸で紀子と史子(1:53:35)
右方、大和の麦畑(2:03:53)

「お茶漬の味」のカメラ移動
後退、佐竹邸で無人(12:02)、途中で止まる(12:06)
後退、佐竹邸で佐竹と妙子(13:17)、途中から動き出す*
継続、前進、切り返して佐竹と妙子が去る(13:24)*
後退、佐竹邸で無人(32:18)、途中で止まる(32:26)
前進、職場で佐竹(35:37)、途中で止まる(35:43)
右奥、歌舞伎座で妙子(48:28)、途中で止まる(48:43)
前進、歌舞伎座で妙子と山内千鶴(三宅邦子)(50:21)、途中から動き出す
前進、佐竹邸で佐竹と節子が去った後(54:20)、途中から動き出す
前進、職場で佐竹(1:22:33)、途中で止まる(1:22:40)
前進、会社の廊下で佐竹(1:24:19)、途中から動き出す*
継続、後退、佐竹邸で無人(1:24:27)、途中で止まる(1:24:32)
後退、佐竹邸で無人(1:36:06)、途中で止まる(1:36:16)
左手前、路上で節子と岡田(1:53:48)、途中で止まる(1:54:03)
前進、路上で節子と岡田(1:55:11)、途中から動き出す


津映画のカメラ移動の中でも屋外で人物を追うものは、縦方向の「淑女は何を忘れたか」小宮と姪の節子(54:08)、「晩春」紀子と周吉(59:07)、「麦秋」紀子と矢部謙吉、横または斜めの「淑女は何を忘れたか」節子と岡田(20:36)、「戸田家の兄妹」節子と母(49:22)、「お茶漬の味」節子と岡田等々、たくさん挙げてもどれも自然に見えますが、それに比べて屋内のものは殆どが無用に思えます。それがある場面とない場面とを区別する基準が分りません。何か特別な意味があるのかと謎を掛けられているように感じます。とくに無人のまま動くショットは異様です。たとえ筋の運びに関するものであっても、一度観ただけでは理解できません。それが分ったとしても、その性質はO・LやF・I、F・Oのような小津自身がカメラの属性(⊆作を語る―生れてはみたけれど)、一種のごまかしの術と否定したものと変りないでしょう。


誰もいなくなった屋内では、普通なら人物の後を追うようにして移動しますが、「麦秋」研究室の隣室のものは、机の前にあるカメラをそこに向って前進させられなかったためか、出口とはだいぶ離れた処から、より遠ざかる右方向に移動しています。さらに画面に大きく映された本棚によって出口が隠されてしまうので、何のためにあるのか良く分りません。おそらく動き自体は、この場面の初めにある窓外の右への移動に合わせたのでしょうが。とすると舞台の幕のようでもありますが、この場面だけ、それがあるのは不自然極まりない。料亭「田むら」での、紀子が振った男を覗き見しようとするアヤと紀子の移動場面は、その意図は理解できますが、他の可笑しなもに比べて逆にここだけ浮いています。


お、「晩春」では七里ヶ浜のサイクリングで走り去る自転車を追うようにカメラがパンして(22:10)、「麦秋」は砂浜の向こうに隠れる人物を映し出すために、そこを乗り越えるようにクレーン撮影が行われました。どちらも監督お気に入りの原節子を撮るために弾けたかったからでしょう。そのため、この二つは派手さが目につきよく話題になりますが、撮り方としては自然のように思われます。


小津はある時はカメラ移動はよくやり、とくに前後の移動が好きだと述べており、その一方でカラー第一作「彼岸花」撮影時には「移動を意識させたくない。知らん間に移動できる場合はやっている」と言っていたのですが(⊆鬚聾鼎い曚斌がよい)、実際はその二つ前の作品「早春」にある、江の島ハイキングでの十六ショットにおよぶ長い々々横移動が最後となりました(21:50〜24:00)。ここで懲りてしまったのか。ただし、その前後には杉山の勤め先の無人の廊下での前進が、ハイキングの予定を立てる前(10:26)と、お好み焼屋の前(41:26)にありますが、これらも意図は不明です。不倫への道しるべということか。

 


屋内への入り方

津映画でカメラが屋内に入る時は、先に建物の外観やその付近を示すのが基本です。しかし同じ建物の中を何度か映す場合、二度目以降はいきなり屋内に入ることもあります。「麦秋」「お茶漬の味」にはこれが特に多く、どちらの作品も前者の場面を上回るのですが、その他の作品は大よそ半数以下しかありません。これもカメラ移動の多さと同じように、小津映画の型を崩した演出といえます。


そこで、「晩春」から「秋刀魚の味」までの作品について、いきなり屋内を映す場面と、建物の外観やその付近を映すそれとの多少を比較してみます。ただし「お早よう」「浮草」の二本は作風が他と異り、主旨に合わないので省略します。また便宜上、建物の外観やその付近を、建物の付近とします。題名の下の数値は「晩春」を例にすると次のようになります。

「12/17(71)」=「いきなり屋内を映す/建物の付近を映す(上記の%)」
「7/22(32)」=後述のいきなり屋内を映す場面にある三種の変種を建物の付近とみなし、「晩春」はこの変種が五件あるので%は「(12−5)/(17+5)=32」
「29(39)」=「屋内に入る回数(最長の「早春」と同じ映写時間とした時の上記の回数)」を表し、「早春」一四四分、「晩春」一〇八分なので、「12+17=29(29×144/108=39)」

「小早川家の秋」には、同じ敷地内と思われる小早川家と、その事務所間の移動が四件ありますが、それらを移動とは見なさず、全体の件数から除いたものを[……]で示します。


めに、いきなり屋内を映す場面と、建物の付近を映すそれとの比などを示し、その後に実際のショットを示します。


 嵌媾奸廖   12/17(71) 7/22(32) 29(39)
◆崕(姉妹」  7/19(37) 3/23(13) 26(33)
「麦秋」    18/17(106) 7/28(25) 35(40)
ぁ屬茶漬の味」 13/10(130) 5/18(28) 23(29)
ァ崚豕物語」  9/29(31) 2/36(6)  38(40)
Α崛畚奸廖   10/31(32) 3/38(8) 41
А崚豕暮色」  6/28(21) 2/32(6)  34(35)
─嵌犂濂屐廖  。掘18(39) 1/24(4)  25(31)
「秋日和」   15/21(71) 4/32(13) 36(41)
「小早川家の秋」10/14(71) 3/21(14) 24(34)
                        [6/14(43) 1/19(5)  20(28)]
「秋刀魚の味」 8/19(42) 2/25(8)  27(34)

 

 

分りやすくするために、先に上記の数値をグラフで示します。

 

 

  屋内への入り方

 


いきなり屋内を映す場面には、屋内から他の建物の中へ直接移動するものが多いのですが、まれに移動元の屋内から一旦その付近に出て、離れた建物の中に移る場合もあります(*付き)。これはいきなり屋内を映す場面の変種ですが、移動前の余韻を残すためのものでしょう。また電話による移動もこの変種とします。


カーテン・ショット(C・S)は屋外の風景が原則ですが、ここでは移動元の屋内の最後や、移動先の屋内の初めに映される誰もいないショットを指し、これもいきなり屋内を映すものの変種です。ただし人物が映される場合でも、台詞のないエキストラ的なものは無人とみなして、これは含みます。なおC・Sというのは小津映画におけるF・I、F・Oに代るものとして一枚の風景で表されますが、それが演劇の幕に似ていることから南部圭之助により、「戸田家の兄妹」のときに命名されました(小津安二郎の怒り)。


建物の付近を映す場面にある継続とは、一度近くの敷地外に出て再び同じ屋内に入るものを指します。これは時間の経過を示したり、他の人物が屋内へ入ることによる場面の推移を表しています。

 

 

 嵌媾奸12/17(71) 7/22(32) 29(39)

  〔いきなり屋内を映す〕

  小料理屋「多喜川」から曾野宮宅(17:17)

  七里ケ浜から田口まさ宅(24:16)

  田口まさ宅から曾野宮宅(26:18)

  喫茶店「バルボア」から劇場カーテン・ショット(33:24)

  丸の内の歩道から曾野宮宅C・S(34:50)

  田口宅から曾野宮宅(47:28)

  曾野宮宅から能楽堂(52:01)

  能楽堂の帰り道から北川アヤ宅C・S(1:00:15)

  八幡宮の境内からアヤ宅(1:13:01)

  アヤ宅から曾野宮宅(1:15:19)

  龍案寺方丈の前庭から京都の宿屋(1:30:25)*

  曾野宮宅C・Sから小料理屋「多喜川」(1:41:28)

  ―――――――――――――――

  〔建物の外観やその付近を映す〕

  円覚寺の庫裡《くり》(02:52)

  曾野宮宅(06:40)

  継続、曾野宮宅(08:35)

  小料理屋「多喜川」(14:43)

  継続、曾野宮宅(27:08)

  喫茶店「バルボア」(32:19)

  田口(杉村春子)宅(42:05)

  継続、曾野宮宅(48:14)

  継続、曾野宮宅(50:10)

  曾野宮宅(1:04:05)

  京都の宿屋(1:21:17)

  継続、京都の宿屋(1:22:08)

  京都の宿屋(1:25:57)

  龍案寺(1:29:05)

  曾野宮宅(1:36:45)

  継続、曾野宮宅(1:41:12)

  曾野宮宅(1:44:45)

 

◆崕(姉妹」7/19(37) 3/23(13) 26(33)

  〔いきなり屋内を映す〕

  京都大学から寺の庫裡(06:14)

  呑み屋「三銀」から酒場「アカシヤ」C・S(34:40)

  箱根の宿C・Sから三村宅C・S(45:10)

  田代の家具店から真下宅C・S(58:33)

  築地の宿C・Sから呑み屋「三銀」(1:32:53)

  呑み屋「三銀」から三村宅(1:36:38)

  寺の庫裡から田代の家具店(1:41:08)

  ―――――――――――――――

  〔建物の外観やその付近を映す〕

  京都大学(02:17)

  薬師寺の金堂(10:15)

  田代の家具店(13:04)

  寺の庫裡(19:44)

  酒場「アカシヤ」(22:38)

  三村宅(26:29)

  呑み屋「三銀」(32:25)

  築地の宿(39:25)

  箱根の宿(43:40)

  寺の庫裡(51:47)

  田代の家具店(54:25)

  三村宅(1:02:58)

  築地の宿(1:09:45)

  酒場「アカシヤ」(1:13:30)

  三村宅(1:20:47)

  築地の宿(1:27:05)

  寺の庫裡(1:39:11)

  薬師寺の金堂(1:43:46)

  喫茶店(1:48:23)

 

「麦秋」18/17(106) 7/28(25) 35(40)

  〔いきなり屋内を映す〕

  海岸から間宮宅C・S(02:39)

  北鎌倉駅付近から間宮宅C・S(09:52)

  歌舞伎座から料亭「田むら」C・S(24:49)

  料亭「田むら」から歌舞伎座C・S(31:43)

  歌舞伎座C・Sから間宮宅(31:53)

  間宮宅から喫茶店(40:23)

  喫茶店から間宮宅C・S(43:11)

  西脇医院から間宮宅(51:45)

  電話、病院の研究室から間宮宅(59:58)

  海岸から間宮宅C・S(1:12:24)

  矢部宅から西脇医院(1:14:23)

  矢部宅から紀子の仕事場(1:19:32)

  喫茶店から矢部宅(1:23:58)

  矢部宅から間宮宅(1:30:18)

  紀子の仕事場から間宮宅C・S(1:37:21)

  間宮宅付近から料亭「田むら」(1:40:59)

  料亭「田むら」から間宮宅C・S(1:46:45)

  紀子の仕事場付近から間宮宅(1:55:50)*

  ―――――――――――――――

  〔建物の外観やその付近を映す〕

  紀子の仕事場(11:03)

  小料理屋「多喜川」(14:28)

  間宮宅(17:23)

  歌舞伎座(24:01)

  病院の研究室(34:44)

  間宮宅(36:46)

  継続、間宮宅(47:01)

  西脇医院(50:43)

  病院の研究室(59:18)

  継続、間宮宅(1:04:31)

  矢部宅(1:13:34)

  矢部宅(1:17:00)

  喫茶店(1:22:08)

  継続、矢部宅(1:28:44)

  紀子の仕事場(1:35:14)

  紀子の仕事場(1:54:02)

  継続、間宮宅(2:01:29)

 

ぁ屬茶漬の味」13/10(130) 5/18(28) 33(41)

  〔いきなり屋内を映す〕

  アヤの店から佐竹の職場C・S(08:27)

  バー「エコー」から佐竹宅C・S(12:02)

  旅館から佐竹宅(23:46)

  球場から佐竹宅C・S(32:18)

  佐竹宅から佐竹の職場(35:37)

  歌舞伎座から佐竹宅(50:27)

  ラーメン屋前から佐竹宅(1:03:02)*

  佐竹宅からアヤの店C・S(1:08:38)

  アヤの店から佐竹宅(1:12:04)

  佐竹宅から展望車C・S(1:20:59)

  展望車C・Sから佐竹の職場(1:22:33)

  佐竹の職場から佐竹宅C・S(1:24:27)

  飛行場から佐竹宅(1:30:58)

  ―――――――――――――――

  〔建物の外観やその付近を映す〕

  アヤの店(03:44)

  バー「エコー」(08:58)

  旅館(19:20)

  旅館(25:50)

  パチンコ屋(38:51)

  山内宅(45:58)

  歌舞伎座(48:21)

  パチンコ屋(57:54)

  ラーメン屋(1:00:38)

  継続、佐竹宅(1:49:48)

 

ァ崚豕物語」9/29(31) 2/36(6) 38(40)

  〔いきなり屋内を映す〕

  うらら美容院から長男宅(23:18)

  長男宅からうらら美容院C・S(31:00)

  電話、うらら美容院から紀子の職場(36:30)

  紀子のアパートからうらら美容院(45:13)

  紀子のアパートからうらら美容院C・S(1:17:31)

  電話、長男宅から紀子の職場(1:35:41)

  紀子の勤務先の屋外付近から長男宅(1:37:27)*

  お寺の墓地から料理屋C・S(1:56:21)*

  料理屋C・Sから平山家C・S(2:02:13)

  ―――――――――――――――

  〔建物の外観やその付近を映す〕

  平山家(03:13)

  継続、平山家(04:36)

  長男宅(06:37)

  うらら美容院(22:12)

  継続、長男宅(30:48)

  紀子のアパートの隣人(39:35)

  紀子のアパート(40:15)

  紀子のアパートの隣人(40:51)

  紀子のアパート(41:16)

  熱海の旅館(47:56)

  継続、熱海の旅館(53:54)

  継続、熱海の旅館(55:42)

  うらら美容院(55:58)

  服部宅(1:02:47)

  小料理屋(1:05:12)

  おでん屋「お加代」(1:07:42)

  紀子のアパート(1:13:16)

  紀子のアパート(1:22:12)

  大阪城付近の駅構内事務所(1:28:25)

  敬三の下宿(1:29:50)

  長男宅(1:32:10)

  平山家(1:39:55)

  継続、平山家(1:41:21)

  継続、平山家(1:42:39)

  継続、平山家(1:48:16)

  継続、平山家(1:53:03)

  お寺の本堂(1:53:38)

  小学校校内(2:11:58)

  平山家(2:13:44)

 

Α崛畚奸10/31(32) 3/38(8) 41

  〔いきなり屋内を映す〕

  土手から杉山宅(03:17)

  河合宅から杉山自宅の部屋C・S(19:24)

  ミルク・スタンドから千代の勤める会社C・S(54:45)

  戦友の会から杉村宅C・S(1:02:06)

  電話、ミルク・スタンドから杉山の職場(1:19:51)

  田辺のアパートから同僚三浦宅(1:30:03)

  三浦宅から杉山宅C・S(1:34:41)

  土手から杉山宅C・S(1:39:53)

  富永栄のアパートから杉山宅C・S(1:57:23)

  杉山宅から「ブルー・マウンテン」(2:08:03)

  ―――――――――――――――

  〔建物の外観やその付近を映す〕

  杉山の職場(08:42)

  杉山の職場(12:24)

  「ブルー・マウンテン」(15:11)

  おでん屋「喜多川」(25:27)

  千代の職場(28:49)

  ラーメン屋(29:43)

  杉山宅(31:10)

  田辺のアパート(35:41)

  継続、田辺のアパート(37:46)

  杉山の職場(39:51)

  お好み焼屋(41:41)

  旅館(45:27)

  杉山宅(48:36)

  ミルク・スタンド(53:21)

  杉山宅(56:00)

  田村宅(58:16)

  戦友の会(58:58)

  杉山宅(1:09:48)

  青木宅(1:13:41)

  おでん屋「喜多川」(1:15:26)

  ミルク・スタンド(1:18:15)

  田辺のアパート(1:23:20)

  継続、杉山宅(1:35:03)

  杉山宅(1:45:18)

  千代の職場(1:47:24)

  三浦宅(1:49:37)

  富永栄のアパート(1:53:41)

  おでん屋「喜多川」(2:03:43)

  田辺のアパート(2:13:49)

  三石工場事務所(2:18:35)

  下宿(2:19:55)

 

А崚豕暮色」6/28(21) 2/32(6) 34(35)

  〔いきなり屋内を映す〕

  相生荘前から沼田宅C・S(22:28)*

  沼田宅C・Sから杉山宅(25:56)

  深夜喫茶「エトアール」C・Sから警察署C・S(53:59)

  笠原医院から杉山宅(1:19:08)

  杉山宅から銀行C・S(1:24:32)

  銀行からパチンコ屋(1:26:11)

  ―――――――――――――――

  〔建物の外観やその付近を映す〕

  小料理屋「小松」(02:53)

  杉山宅(07:49)

  銀行(12:48)

  うなぎ屋(15:06)

  富田のアパート(19:23)

  麻雀荘(31:33)

  杉山宅(37:43)

  珍々軒(42:09)

  バー「ガーベラ」(43:39)

  深夜喫茶「エトアール」(50:04)

  杉山宅(59:00)

  継続、杉山宅(1:06:00)

  麻雀荘(1:10:49)

  笠原医院(1:15:33)

  麻雀荘(1:29:03)

  杉山宅(1:34:28)

  麻雀荘(1:39:57)

  おでん屋「お多福」(1:41:31)

  バー「ガーベラ」(1:46:39)

  珍々軒(1:48:51)

  病院(1:54:00)

  麻雀荘(2:00:38)

  おでん屋「お多福」(2:02:21)

  杉山宅(2:06:26)

  継続、杉山宅(2:08:05)

  継続、杉山宅(2:08:24)

  杉山宅(2:12:48)

  継続、杉山宅(2:17:45)

 

─嵌犂濂屐廝掘18(39) 1/24(4) 25(31)

  〔いきなり屋内を映す〕

  うまいもの屋「若松」から平山宅C・S(10:42)

  箱根から平山の会社C・S(40:47)

  平山の会社から平山宅C・S(44:23)

  平山宅から平山の会社(55:13)

  中華料理屋「珍々軒」から平山宅C・S(1:06:08)

  築地の宿から平山宅C・S(1:19:06)

  電話、旅館「佐々木」から平山宅(1:54:01)

  ―――――――――――――――

  〔建物の外観やその付近を映す〕

  ステーション・ホテル(03:51)

  うまいもの屋「若松」(07:52)

  平山の会社(15:31)

  平山宅(23:06)

  聖ロカ病院(28:12)

  築地の宿(29:34)

  平山宅(31:55)

  谷口のアパート(47:11)

  平山宅(49:42)

  バー「ルナ」(58:15)

  中華料理屋「珍々軒」(1:02:41)

  バー「ルナ」(1:09:08)

  平山の会社(1:12:27)

  築地の宿(1:13:57)

  クラブ・ハウス(1:26:35)

  平山宅(1:29:32)

  蒲郡の旅館(1:37:46)

  旅館「佐々木」(1:45:41)

 

「秋日和」15/21(71) 4/32(13) 36(41)

  〔いきなり屋内を映す〕

  寺の庫裡C・Sから築地の料亭C・S(09:02)

  築地の料亭から田口宅(17:16)

  うなぎ屋「竹川」C・Sから間宮宅(28:00)

  電話、桑田服飾学院からアヤ子の勤め先(37:52)

  アヤ子の勤め先C・Sから間宮の会社(38:54)

  クラブ・ハウスから平山宅(1:02:53)

  平山宅から間宮の会社C・S(1:06:57)

  バー「ルナ」から間宮宅(1:15:12)

  三輪のアパートからアヤ子の勤め先(1:31:06)

  アヤ子の勤め先屋上からラーメン屋C・S(1:32:56)*

  三輪のアパート廊下から間宮の会社C・S(1:39:35)*

  間宮の会社から「芳ずし」C・S(1:45:35)

  榛名湖畔C・Sから結婚披露宴会場C・S(2:00:14)

  結婚披露宴会場から築地の料亭C・S(2:01:45)

  築地の料亭から三輪のアパートC・S(2:04:41)

  ―――――――――――――――

  〔建物の外観やその付近を映す〕

  寺の庫裡(02:48)

  間宮の会社(22:32)

  うなぎ屋「竹川」(24:56)

  三輪のアパート(30:58)

  桑田服飾学院(34:35)

  とんかつ屋「さつき」(41:44)

  三輪のアパート(44:22)

  山小屋(48:34)

  アヤ子の勤め先(50:38)

  ゴルフ用品店(53:24)

  喫茶店(54:11)

  クラブ・ハウス(59:44)

  バー「ルナ」(1:11:02)

  うなぎ屋「竹川」(1:18:09)

  三輪のアパート(1:21:50)

  「芳ずし」(1:24:32)

  三輪のアパート(1:29:06)

  三輪のアパート(1:34:57)

  アヤ子の勤め先(1:49:51)

  伊香保旅館「俵屋」(1:51:29)

  榛名湖畔(1:58:26)

 

「小早川家の秋」10/14(71) 3/21(14) 24(34)
                        [6/14(43) 1/19(5)  20(28)]

  〔いきなり屋内を映す〕

  電話、小早川家の事務所から小早川家(12:24)

  紀子の勤め先からフルーツパーラーC・S(16:12)

  旅館「佐々木」C・Sから小早川家の事務所C・S(33:41)

  小早川家の事務所から小早川家(35:17)

  小早川家から旅館「佐々木」(42:42)

  嵐山の保津川から小早川家(55:27)*

  小早川家C・Sから小早川家の事務所C・S(1:01:17)

  小早川家の事務所から小早川家(1:02:17)

  バー「リラ」から小早川家C・S(1:22:04)

  小早川家から旅館「佐々木」C・S(1:24:04)

  ―――――――――――――――

  〔建物の外観やその付近を映す〕

  バー「リラ」(02:29)

  秋子のアパート(08:35)

  小早川家の事務所(11:33)

  紀子の勤め先(15:08)

  小早川家の事務所(19:52)

  氷屋(23:48)

  旅館「佐々木」(26:25)

  画廊「千草」(46:51)

  嵐山の料亭(49:22)

  継続、小早川家(1:00:43)

  継続、小早川家(1:06:23)

  バー「リラ」(1:19:45)

  火葬場の待合室(1:31:42)

  継続、火葬場の待合室(1:34:49)

 

「秋刀魚の味」8/19(42) 2/25(8) 27(34)

  〔いきなり屋内を映す〕

  球場から小料理屋「若松」C・S(06:26)

  小料理屋「若松」から平山宅(13:13)

  バー「かおる」前から平山宅(44:40)*

  石川台駅から平山の職場C・S(1:01:46)

  小料理屋「若松」から平山宅(1:09:25)

  とんかつ屋から平山宅C・S(1:26:05)

  平山宅C・Sから河合宅C・S(1:39:53)

  バー「かおる」前から平山宅C・S(1:46:40)*

  ―――――――――――――――

  〔建物の外観やその付近を映す〕

  平山の職場(01:59)

  幸一のアパート(15:41)

  路子の勤め先(18:21)

  小料理屋「立花」(20:13)

  「燕来軒」(27:03)

  小料理屋「若松」(30:35)

  「燕来軒」(34:44)

  バー「かおる」(40:00)

  幸一のアパートの隣(47:51)

  幸一のアパート(48:34)

  幸一のアパート(53:53)

  継続、幸一のアパート(56:47)

  小料理屋「若松」(1:05:23)

  幸一のアパート(1:15:53)

  バー「かおる」(1:19:12)

  とんかつ屋(1:22:18)

  河合宅(1:31:11)

  平山宅(1:35:42)

  バー「かおる」(1:44:10)

 

 

「麦秋」は「お茶漬の味」ほどには、いきなりの移動が目立ちませんが、それは変種である *付きや電話からの移動、C・Sが十二件と多いためでしょう。「お茶漬の味」は屋内への移動が二十三件と最も少ないですが、%は逆に最も高いので目立ちます。「東京物語」になると、それまでの作品とくらべて屋内への移動が三十八件で最多、%は最低となります。

 

続く「早春」は数値の上では殆ど変わらないのですが、「東京物語」と作風はずいぶん異なっています。それを示す例として連続する2つの屋内に入る間隔の差を見てみます。プラスなら短い場面から長い場面に緩くなり、マイナスは逆に速くなるわけです。それぞれの作品の最長と最短から5件ずつ抽出します。「東京物語」のいちばん緩いものは以下の(継続、平山家)から(長男宅)の 13:34 です。

 

 場面「継続、平山家」の長さ 02:01 = 0:06:37(長男宅) - 0:04:36(継続、平山家)

 場面「長男宅」の長さ    15:35 = 0:22:12(うらら美容院)- 0:06:37(長男宅)

 緩急(緩い)        13:34 = 15:35(場面「長男宅」)- 02:01(場面「継続、平山家」)

 

 

 「東京物語」「早春」屋内場面の緩急

 

「東京物語」 「早春」
緩急  長さ  位置   場面 緩急  長さ  位置   場面
02:01 0:04:36 継続、平山家 03:08 0:58:58 戦友の会
13:34 15:35 0:06:37 長男宅 4:34 07:42 1:02:06 戦友の会から杉村宅C・S
0:22:12 うらら美容院 1:09:48 杉山宅
00:16 0:55:42 継続、熱海の旅館 00:22 1:34:41 三浦宅から杉山宅C・S
6:33 06:49 0:55:58 うらら美容院 4:28 04:50 1:35:03 継続、杉山宅
1:02:47 服部宅 1:39:53 土手から杉山宅C・S
01:06 0:22:12 うらら美容院 03:29 1:19:51 電話、ミルク・スタンドから杉山の職場
6:24 07:30 0:23:18 うらら美容院から長男宅 3:14 06:43 1:23:20 田辺のアパート
0:30:48 継続、長男宅 1:30:03 田辺のアパートから同僚三浦宅
00:12 0:30:48 継続、長男宅 01:27 0:29:43 ラーメン屋
5:18 05:30 0:31:00 長男宅からうらら美容院C・S 3:04 04:31 0:31:10 杉山宅
0:36:30 電話、うらら美容院から紀子の職場 0:35:41 田辺のアパート
01:18 1:41:21 継続、平山家 03:42 1:53:41 富永栄のアパート
4:19 05:37 1:42:39 継続、平山家 2:38 06:20 1:57:23 富永栄のアパートから杉山宅C・S
1:48:16 継続、平山家 2:03:43 おでん屋「喜多川」
15:35 0:06:37 長男宅 04:38 1:30:03 田辺のアパートから同僚三浦宅
-14:29 01:06 0:22:12 うらら美容院 -4:16 00:22 1:34:41 三浦宅から杉山宅C・S
0:23:18 うらら美容院から長男宅 1:35:03 継続、杉山宅
09:45 2:02:13 料理屋C・Sから平山家C・S 07:42 1:02:06 戦友の会から杉村宅C・S
-7:59 01:46 2:11:58 小学校校内 -3:49 03:53 1:09:48 杉山宅
2:13:44 平山家 1:13:41 青木宅
07:30 0:23:18 うらら美容院から長男宅 04:46 2:13:49 田辺のアパート
-7:18 00:12 0:30:48 継続、長男宅 -3:26 01:20 2:18:35 三石工場事務所
0:31:00 長男宅からうらら美容院C・S 2:19:55 下宿
06:13 1:22:12 紀子のアパート 04:45 0:48:36 杉山宅
-4:48 01:25 1:28:25 大阪城付近の駅構内事務所 -3:21 01:24 0:53:21 ミルク・スタンド
1:29:50 敬三の下宿 0:54:45 ミルク・スタンドから千代の勤める会社C・S
06:49 0:55:58 うらら美容院 05:25 1:39:53 土手から杉山宅C・S
-4:24 02:25 1:02:47 服部宅 -3:19 02:06 1:45:18 杉山宅
1:05:12 小料理屋 1:47:24 千代の職場

 

 

「東京物語」は最長が 13:34、最短が -14:29「早春」ではそれぞれ 4:34、-4:16 です。さらに最長、最短の差は「東京物語」28:03 (13:34 - (-14:29))、「早春」8:50 (4:34 - (-4:16)) と 20分近くの違いがあります。後に書く「変な『早春』」では、「早春」がだらだら感のあることを示しますが、そこでは挙げない、場面転換の間隔の差が少ないことも関係しているようです。「東京物語」は反対の傾向があると言えるでしょう。なかには、屋外の場面が間にあるかも知れませんが、二作品の違いははっきり出ていると思われます。

 

話題を屋内への入り方に戻します。「秋日和」と「小早川家の秋」の%はその他のカラー作品よりも高く、白黒の「晩春」「宗方姉妹」に近いですが、「小早川家の秋」の方は小早川家と、その事務所間の移動四件を除いたものは([……]内)、他のカラー作品に近くなります。


三種の変種を除くと%は「晩春」(32)が「麦秋」(25)、「お茶漬の味」(28)を抜いて最高になりますが、これはC・Sが四件であり、他の二作の九件、七件の半数ほどしかないためです。屋内に入る回数は映写時間を「早春」に合わせると、最も少ない「お茶漬の味」(29)[「小早川家の秋」(28)]から最多の「早春」(41)まで余り差が無くなりますが、製作順にみると四十前後から三十前後へと、減少する傾向にあります。


こには挙げませんでしたが、他の作品に現れないものとして、「早春」「東京暮色」には初めてであっても、いきなり屋内を映すものが一つずつあります。それらは杉山が見舞う同僚三浦(増田順二)宅内(1:30:03)と、父周吉が訪れる長女の夫沼田宅C・S(22:28)で、三浦宅は後に玄関で葬儀の花輪が画面いっぱいに映るショットがあります(1:49:37)。この二作品は外観を省略することにより、物語への関わりの弱さや不透明な性格など、彼らの特異性を象徴していると思われます。


電話により移動先が映された場合のほとんどが、その会話のなかで何度か行き来しても、最後は移動先で終りますが、移動元で終るものが「東京物語」長男宅からうらら美容院(1:33:12)、「小早川家の秋」小早川家から平山医院(57:40)の二つあります。これらは移動とはみなしませんが、どちらも主要人物の危篤による場面の緊迫感を出すためのものです。前者はうらら美容院で志げが母危篤の電報を受け取るところから順に追っていったとすると緩慢になってしまいます。後者は呼び出し音が院内に鳴り響くだけで、その後は省略されて次の場面では既に医者が往診に来ています。ただし、こちらはその音が長く続くので、医者が現われないのではないかと要らぬ心配をしてしまいます。

 

【参考文献】

 

 (本文ここまで)




 

 

 

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  • 2019.07.19 Friday
  • 05:05
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