JUGEMテーマ:日本映画の監督
台詞と場面 【参考文献】
小津映画で好きな台詞を、サイレントとトーキーから一つずつ挙げます。
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- 「東京の合唱」同じ会社から解雇された失業者二人が上野公園のベンチでしょぼくれていると、園内で熊の脱走騒ぎが起る(41:22)。元先輩(阪本武)が見物に誘うが、元後輩(岡田時彦)は「私の人生には何の関はりもないぢゃありませんか」と拒否。
- 「秋日和」アヤ子(司葉子)から、母親(原節子)と不仲だと聞いた彼氏の後藤(佐田啓二)が、幼少時に母親と喧嘩して仲直りしないまま母親が死んでしまったという身の上話をする前に、「そりゃいかんな。喧嘩しちゃいけないな」(1:33:20)
*「秋日和」の台詞は身の上話の前にありますが、何度も観ていると、台詞が始まった処でその後の話を了解できるので、しみじみと感じられます。
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小津映画で好きな場面を五つ。
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- 「東京の合唱」正職を失った夫(岡田時彦)が、子供の病気を治すために衣類を質に入れてしまい、それに気づいた妻(八雲恵美子)が、さらに夫の哀れな言動によって、嫌っていた彼のアルバイトを認める(1:17:38)
- 「淑女は何を忘れたか」姪の節子(桑野通子)が最後の台詞「うち、明日の今時分もう大阪や」を言う処(1:07:00)
- 「麦秋」夏目漱石「こころ」からの拝借のようだが、紀子(原節子)が矢部謙吉(二本柳寛)宅で、彼の母たみ(杉村春子)からのプロポーズを受けた後、外に出たところを帰宅して来た謙吉とすれ違う(1:28:16)
- 「早春」夫杉山正二(池部良)と仲人小野寺(笠智衆)の二人が、京大短艇部のボートを見ながら元先輩の河合(山村聰)の噂をする(2:16:58)
- 「早春」仲人から受け取った仲裁の手紙により、妻の昌子(淡島千景)が夫の浮気を許す(2:20:40)
*「早春」の前の方では学生のボートを見ながら、小野寺は「あの時分が、一番いい時だなあ」と言います。同じような台詞なら「麦秋」等にもありますが、ここでは河合の噂話を絡めているので印象深い。これより前に杉山が三浦宅へ弔問に訪れた際、彼の事情(情事)を何も知らないはずの河合から「まあ、お互いに生きてはいるが、そう幸せだとも思えないからねえ」と言われていました(1:52:55)。
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【参考文献】
(本文ここまで)